親が遺した家がゴミ屋敷!相続の現実
親が亡くなり遺された実家を相続する。しかしその扉を開けた時そこに広がっていたのは、思い出の詰まった懐かしい我が家ではなく足の踏み場もないほどのゴミの山だった。これは今多くの人が直面している非常に深刻でそして悲しい「負の相続」の現実です。ゴミ屋敷を相続するということは単に「汚い家を片付ける」という問題に留まりません。それは遺された家族にとって精神的、物理的そして経済的にあまりにも大きな負担を一度に背負うことを意味します。まず遺族の心を襲うのは「精神的な衝撃」です。目の前の惨状は亡くなった親が生前いかに孤独で困難な生活を送っていたかを雄弁に物語っています。「なぜこうなるまで気づいてあげられなかったのか」「もっと何かできたのではないか」。深い悲しみと同時に後悔や時には親に対する怒りといった複雑な感情が渦巻き、冷静な判断を奪っていきます。次に立ちはだかるのが「物理的な負担」です。一軒家まるごとのゴミの片付けは素人が自力で行うにはあまりにも過酷で危険な作業です。遠方に住んでいれば何度も実家に通うことすらままなりません。そして最も現実的な問題が「経済的な負担」です。専門業者に片付けを依頼すればその費用は数十万円から時には数百万円にも及びます。さらにゴミを撤去した後に家の損傷が発覚し高額なリフォーム費用が追加で必要になることも少なくありません。相続した不動産の価値よりも片付けとリフォームにかかる費用のほうが高くなってしまう「マイナスの遺産」となるケースさえあるのです。ゴミ屋敷の相続は故人が遺族に遺した最後のそして最も困難な課題。その現実にどう向き合っていくのか。遺された家族は重い決断を迫られることになります。