ゴミ屋敷という環境は、人間にとっては過酷な場所ですが、害虫にとってはこれ以上ないほど理想的な「楽園」であり、そこには独自のあるあるな生態系が構築されています。つい先日まで、あらゆる音を吸い込んでいたゴミの山がなくなり、ガランとした部屋に自分の声や足音が反響する。その不自然なほどの静寂と広さに、多くの元住人は一時的な不安や「剥き出しの自分」を感じて落ち着かなくなります。まず、ゴミ屋敷あるあるの筆頭に挙げられるのが、ゴキブリの異常なまでの個体数と、人間に対する警戒心のなさです。通常の住宅では人の気配に敏感なゴキブリも、ゴミ屋敷では餌(生ゴミ、埃、仲間の死骸、衣類)が無限に供給され、隠れ場所も無数にあるため、住人の目の前を堂々と這い回り、時には住人の体の上を歩くことさえあります。住人もまた、あまりに日常的な光景であるため、ゴキブリを見ても悲鳴を上げなくなるという、感覚の麻痺あるあるがセットで発生します。次に深刻なのが、ダニやチャタテムシといった微小な害虫の大量発生です。湿気を吸った段ボールや衣類は、これら微小生物の格好の繁殖地となり、住人は常に全身の痒みや、原因不明の喘息、アレルギー症状に悩まされます。「いつも体が痒いけれど、どこを片付ければいいか分からない」という悩みも、ゴミ屋敷住人には多いあるあるです。また、夏場には放置されたコンビニ弁当の残骸からハエが大量発生し、部屋全体に不気味な羽音が響き渡るのも定番です。さらに、ゴミ屋敷の裏側ではシロアリが建物の基礎を食い荒らしていることも多く、ゴミを片付けた後にはじめて家の倒壊危機が発覚するという最悪のあるあるも存在します。害虫という名の「生きたゴミ」は、住人の健康をじわじわと蝕み、思考をさらに鈍らせます。不衛生な環境への適応は、生物としての生存本能の歪みであり、害虫と共に暮らすことに違和感を感じなくなったとき、住人のセルフネグレクトは極点に達していると言えるでしょう。あるあると呼ぶにはあまりに生理的な嫌悪感を伴う現実ですが、これがゴミ屋敷の真の恐ろしさなのです。
ゴミ屋敷に潜む「害虫の生態系」と健康被害のあるある